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2018年12月28日

桜の和歌の種類8つ|春の和歌が読める本3選・桜の和歌の特徴

桜は、古くから多くの歌人に愛されてきた、日本を代表する春の花です。桜の和歌を知ることで、当時の桜の愛され方や春の風景、そして作者の情景がわかります。今回は桜を題材にした春の和歌を8首、そしてより和歌を知るための著作をご紹介します。

桜の和歌の種類8つ|春の和歌が読める本3選・桜の和歌の特徴

和歌における桜の存在

桜の和歌の種類8つ|春の和歌が読める本3選・桜の和歌の特徴
和歌を語るうえで外すことができない大切な題材といえば、何といっても桜です。和歌には美しい自然風景や花を題材としたものが数多く存在しますが、その中でも特に多い題材は桜でした。

現代では桜といえばソメイヨシノですが、この桜は江戸末期から日本に広まった桜です。それより前の時代に詠まれた和歌の題材になっているのは、山に自生しているヤマザクラ(シロヤマザクラとも)という品種になります。

桜の和歌の特徴

桜は多くの和歌で題材となっていますが、そのどれもが桜が大切な花であることを表すものとなっています。特に古い和歌であれば、桜をぞんざいに扱っているものはありません。

桜の和歌の種類8つ

桜の和歌の種類8つ|春の和歌が読める本3選・桜の和歌の特徴
ここからは桜を題材に詠まれた和歌を、種類別に8つご紹介します。桜は多くの歌人に愛された題材であるため、実に多くの和歌が残されています。ですが和歌によって、桜が持つ意味や歌人の思いは変わってきます。

桜の和歌の種類を知ることは、昔の人がどのように桜を愛し、どのような心情を表したかったのかを知ることと同じです。桜を通して、和歌をより深く知っていきましょう。

1:桜の美しさを詠んだもの

いにしへの 奈良の都の 八重桜 けふ九重(ここのへ)に にほひねるかな/伊勢大輔

現代語訳は「昔は奈良の都で咲き誇っていた八重桜が今日は宮中で美しく咲き誇っているよ」です。作者の伊勢大輔は、奈良から献上された八重桜を受け取る大役を任されました。そのときに権力者である藤原道長から即興で和歌を詠むように言われ、作られたものがこちらです。

昔と今、八重と九重(宮中)を対比させながら桜の美しさを表現しています。

2:別れを詠んだもの

別れをば 山のさくらに まかせてむ とめむとめじは 花のまにまに/幽仙法師

現代語訳は「お別れは山の桜にまかせてしまいましょう。引き止めるか引き止めないかは、桜の咲き散るままに」となります。作者は出会った人々とお別れするときに、まだ引き止めたい気持ちを持ちながらも、実際にお別れするかどうかは桜にまかせてしまおう、と詠んでいます。

3:桜と自分を重ねているもの

花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世(みよ)にふる ながめせしまに/小野小町

現代語訳は「桜の花がいつの間にかすっかり色あせてしまった。降っている雨を眺めている間に」となりますが、この歌は作者の小野小町自身のことも表現されています。そのため訳の後ろには「私の美しさも花の色のように褪せてしまいました」などと続きます。

美しさと和歌の巧みさを讃えられた、小野小町の代表的な一首です。

4:桜の儚さを詠んだもの

久方の 光のどけき 春の日に しづ心なく 花の散るらむ/紀友則

現代語訳は「こんなにも日の光が差しているのどかな春の日なのに、なぜ桜は落ち着かなげに散っていくのだろうか」となります。作者の紀友則は、紀貫之の甥、あるいは従兄弟であると伝わっています。三十六歌仙の1人にも数えられ、古今集の選者にもなっている人物です。

春の光が差し込む穏やかな情景と、 散っていく桜が巧みに対比されています。

5:人生の儚さを桜にたとえて詠んだもの

はかなくて 過ぎにしかたを 数ふれば 花に物思ふ 春ぞ経にける/式子内親王

現代語訳は「儚く過ぎ去った過去を振り返ってみれば、桜について物思いに耽る春を過ごしてきたものだなあ」となります。桜に心を奪われていた日々を振り返っている和歌であり、かつ、過ぎ去ってしまった日々に対する寂しさを感じさせる一首です。

またこの和歌が詠まれたのは武家社会が始まりかけた・始まった時期ということもあり、社会の無常も感じられます。

6:桜のことを心配して詠んだもの

世の中に 絶えて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし/在原業平

現代語訳は「この世にまったく桜がなかったのであれば、春を過ごす人々の心は穏やかであっただろうに」となります。春が近づくにつれ、桜が咲くかどうかを心配していた人々の心と、桜がそれほどまでに愛されていた花であることがわかる一首です。

作者の在原業平は著名な歌人として知られており、六歌仙・三十六歌仙の1人に数えられ、美男子としても有名です。

7:大切な人を桜にたとえて詠んだもの

咲けば散る 咲かねば恋し 山桜 思ひたえせぬ 花のうへかな/中務(なかつかさ)

現代語訳は「桜が咲けば散ってしまうことを心配し、咲かなければひたすらに恋しく思われます」となります。

この和歌は詞書(和歌や俳句の前書き)として「子にまかりおくれて侍りけるころ、東山にこもりて(子をなくしたころ東山にこもって)」と添えられています。そのため訳の後ろには「亡くなった子と同じで、桜にも思いが絶えない」と続きます。

8:桜が散った後の風景を詠んだもの

さくら花 散りぬる風の なごりには 水なき空に 浪ぞたちける/紀貫之

現代語訳は「桜が散っていく風のなごりは、水のない空に波が立っているようだ」となります。なごりには「名残(余韻)」と「余波(風が静まった後に立っている波)」の同音異義語がかけられています。散っていく桜の花びらを波にたとえ、巧みなかけことばで表現しています。

桜が散り際まで人々に愛されていたことがわかる一首です。

和歌のルール/渡部 泰明

和歌には「5・7・5・7・7」のルールの他に、さまざまな技巧が使用されています。現代人には今ひとつピンとこないような独自ルールを、分かりやすく解説しているのがこの本です。受験を控える中高生はもちろんのこと、和歌に興味を持った大人の方にもおすすめしたい一冊です。

春の和歌が読める本3選

桜の和歌の種類8つ|春の和歌が読める本3選・桜の和歌の特徴
桜の和歌を、そして春の和歌をより知るために、春の和歌が読める本を3冊ご紹介します。和歌を楽しむことに慣れてきたら、自分なりの訳や解釈ができるようになります。和歌を鑑賞しながら、自分の中でお気に入りの一首を見つけてみましょう。

1:和歌で感じる日本の春夏

「和歌で感じる日本の春夏」は、古典などに関する随筆、小説を数多く執筆している松本章男によって書かれた本です。

こちらの本では王朝時代から幕末までの幅広い年代の和歌を紹介しています。時代による季節の捉え方や移り変わりを知ることができるという意味でも、おすすめの一冊です。

2:春戦争

新鋭短歌シリーズとして出版された「春戦争」は、現代の和歌が収められています。和歌は過去の歌人が愛した、歴史上の遺産ではありません。現代にも多くの歌人がおり、和歌は多くの場所で発表され続けています。春の和歌の「今」を知ることができる一冊です。

伝説の少女になりたくて窓の外を見ていた日直の朝

秋のさわやかな涼しい風に吹かれて、届いた歌集を読んでいる。
懐かしいような照れくさいような表情をした女の子、そんな目立つ存在ではないけど、いないとさみしいような、幼馴染の女の子と再会した気持ちになった。
言葉で自分の気持ちをはっきりと相手に言えるタイプではなさそうにも思えた。でも、自分の気持ちはちゃんと胸に温めてる。

出典: https://www.amazon.co.jp/%E6%98%A5%E6%88%A6%E4%BA%89-%E6%... |

3:折々のうた 春夏秋冬・春

「折々のうた 春夏秋冬・春」は大岡信が朝日新聞の1面にて連載したコラムの中から、選び抜かれた編をまとめたものです。1979年1月25日から2007年3月31日という長期間にかけて連載されたものは6,762編にも上ります。まさに現代の万葉集とも言える一冊です。

朝日新聞を購読している家だったので、小学生の時はこの「折々のうた」とテレビ欄だけを毎日見てました。先日大岡さんが亡くなられたのを、それこそ、また朝日新聞で読み、図書館で「新折々のうた」を借りて読んで、なんか無性に手元に置いて読みたくなり買いました。
そうだった、そうだったと一つ一つが懐かしく思い出されて、ちょっと高めの本ではあるんですが、手にしっかりなじむ作りだし、子どもの頃は欲しいなあと思ってもちょっと買えなかっただろうものを、大人だからかえるぜぃと毎日好きな時に好きなように気の向いたページを読んで楽しんでいます。

出典: https://www.amazon.co.jp/%E6%8A%98%E3%80%85%E3%81%AE%E3%8... |

桜の和歌は美しい

桜の和歌の種類8つ|春の和歌が読める本3選・桜の和歌の特徴
多くの歌人を魅了した桜は、その寵愛を示すかのように多くの和歌で題材として取り上げられました。現代を生きる私たちにも、和歌を通してその美しさは伝えられています。桜の和歌を通じて古くからの春を、そして現代の春を感じてみましょう。

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